優しい犯罪




もしかして、私が邪魔してるのかな。


だとしたらこの家には居ない方が、おじさんのためなのかな。





「…あのさ」




…追い出される。


私の背後で感じる威圧。




「あんたの名前、教えて」


「え?」


「名前。あるでしょ」





何かと思えば。



私の名前か。何だそんなことか。




……でも、どうしよう。


自分の名前が分からない。



というより、知らない。


親に名前で呼ばれたことがないし、苗字も。


< 145 / 296 >

この作品をシェア

pagetop