優しい犯罪
「優衣。ご飯作るから手伝って」
「はーい」
パタパタとスリッパの裏を床に叩きつけて走ってくる姿は、愛しい母親に引っ付く子どもみたい。
歳は二十歳ほどは離れてるだろうから、子どもでもおかしくないけど、俺は親ではないから。
「何作るんですか?」
「今日は大根を煮るわ。包丁を使うから、気をつけて」
まずは手本を見せて、真似てもらう。
さすがに包丁で大根の皮を剥いたり、角を取るのは大変だから、ピーラーで代用する。
ピーラーは包丁より安全だから、他の食材の処理をする時も優衣に使わせている。
だからピーラーで皮剥きはお手のもの。