優しい犯罪




顔を覗き込んでくるから見せないようにしていたのに、バレてしまった。



正直で素直なやつは良い意味で空気を読まないから、思ったことを全部言ってくる。





「…見るなよ」




これ以上問い詰められたくなくて、顔を隠すように帽子のつばを下に下げた。




「うわっ…前が見えない」




見えなくて良い。


今は、俺の邪(よこしま)な気持ちがバレなかったら。


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