貴方とは、もう御免。
正確には結婚して26年。
私達は高校の同級生で23歳の年に結婚した。
1年後には娘の可愛い莉緒も産まれた。

現在49歳。
私達が仮面夫婦になったのはもういつだったのかも
思い出せないくらい遠い過去だけど
ここまで離婚せずにこれたのは
きっと娘の存在があったから。
当たり前だけど夫婦共に
子供は何にも変えられないくらい大切だった。

特に母子家庭で育ち親からの愛情を全く受けずに
育った私にとっては家庭というのは憧れそのもので
家族のカタチを壊したくなかった。

せめて莉緒が成人するまでは……
いや、莉緒が素敵な人に出会い巣立っていくまでは……

と思い明日、莉緒の結婚式を控えた
今日この日まできたのけど
娘の莉緒にとってはどうだったのだろう。
私達のその思いが一体何になったって言うのだろう。

家に帰れば会話や笑顔がない両親。
喧嘩にすらならない程冷えきっていたから
無様な怒鳴り合いや罵りあいは見せずに済んだのだけど
きっとあの子にとっても、私にとっての夢でもあった
暖かな家庭、なんて言うのは程遠かったんだろうな。

申し訳ない。悲しい。戻れるなら戻りたい。

でも、どこに?どこに戻るの?
莉緒が産まれた日?
私達夫婦の関係がギクシャクする前?
それとも新婚さんの時?

いや、私は過去に戻れるなら
もうこの人とは結婚したくない。
むしろ出会いたくないとまで思う。

莉緒は、、莉緒は大切だけど、、
それなら他の人と出会い結婚して
もう一度莉緒を産みたい。

過去に戻れるのならば
もう二度と出会わなくて済むように。
< 2 / 20 >

この作品をシェア

pagetop