【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
 正直、予想外すぎて頭が付いていかない。

 その所為でぼうっと彼の顔を見つめていれば、彼はもう一度「大丈夫か?」と問いかけてこられる。

 彼の吊り上がった金色の目が優しく細められて、私を見つめる。……柄にもなくドキッと、した。

「え、えぇ、その……大丈夫、です」

 視線を彷徨わせて、そう答える。そうすれば、彼はなんのためらいもなく私の手を取った。

 そのきれいな指には、ルビーの指輪がはめられている。綺麗な銀の台座にはめられたルビーは、シャンデリアの光を浴びてきらきらと輝いていた。

「そうか。……足とか、くじいていないか?」
「は、はい……」

 どうして、彼はこんなにも親切なんだろうか。そんな疑問を抱きつつも、私は差し出された手に自身の手を重ねて、立ち上がる。

「全く、久々に帰って来てみれば、いきなりこんなことに巻き込まれるなんてな……」

 彼が小さくそう零したのがわかった。なので、私はなんだかいたたまれなくて身を縮める。

「その、申し訳、ございません……」

 自然と私の口から謝罪の言葉が出た。

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