捨てられ令嬢ですが、一途な隠れ美形の竜騎士さまに底なしの愛を注がれています。
 私の隣に並んだ彼は、私を見下ろす。愛おしそうに、でもちょっと不満そうに。

「ちょっと妬いてしまいそうです。こんなに早く打ち解けて――って」
「……それは、その。どちらに対して、でしょうか?」

 彼は私とギード、どちらに嫉妬しているのだろう。

 私がギードとこんなに早く打ち解けたからなのか。それとも――。

「もちろん、ギードに嫉妬しています。俺だって、もっとメリーナさんと近づきたいのに」

 一歩近づくと、肩が触れそうな距離になる。

 心臓の音が大きくて、うるさい。顔が熱くてたまらない。絶対赤くなっている。自然とうつむいた。

「――メリーナさん?」

 怪訝そうに名前を呼ばれた。すぐに顔をあげることはできず、私は何度か深呼吸をする。

 しばらくして顔をあげ、いつも通りの笑みを作った。

「いえ、なんでもありません。私も、もう少しヴィリバルトさんのことが知りたい……かも、しれないです」

 照れくさくて言葉を付け足す。

 こういうとき素直に気持ちを伝えたら、ちょっとは可愛らしくなるのだろうか。

 浮かんだ疑問は一瞬で霧散する。ヴィリバルトさんの手が、私の頬に触れたから。

「……その」

 自分の戸惑いを帯びた声。うるさい鼓動。時が止まったみたいな感覚。

「……そんなことを言われたら、本気にしますよ」

 いつもよりも低くて真剣な声。

 木々のざわめき。鳥のさえずり。耳に届く音はたくさんあるはずなのに――どうしてか、ヴィリバルトさんの声にしか、意識が向かない。
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