イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


「ねぇねぇ、慧くん」


 まだわたしの席の近くにいる一堂先輩に、1人の女の子が話しかけてきた。


 緑色のリボンをつけているから……この人、2年生かな? 髪をゆるく巻いていて、目も大きくて可愛い。


「あのね、慧くん。今日から彼女、1人新しくなるでしょう?」


 え、彼女が新しくなる?? 一堂先輩の彼女って確か、春休みに公園でキスしてたハルカちゃんって子じゃ……。


「ああ、うん。そうだったね。えーっと、今日からはミナちゃんだったかな」

「違うよ、私!」


 2年の先輩女子と一堂先輩の謎の会話に、聞いているわたしは頭が混乱する。


「あのね、依茉ちゃん」


 すると、わたしの耳元で杏奈がこっそりと教えてくれた。


「一堂先輩ってね、御曹司であの見た目だからすごくモテるんだけど。自分に告白してきた女の子は全て受け入れる、来る者拒まずのプレイボーイで。1ヶ月に1回のペースで彼女を別の子に替えるらしいよ」

「……え?」


 杏奈の話に、わたしは目が点になる。


「ああ、そうそう。今月は、スズちゃんとアヤノちゃんだったね。来月が、ミナちゃんとサユミちゃんで……」


 スマホを手にする一堂先輩の口からは、次から次へと女の子の名前が出てくる。


 1ヶ月に1回彼女を替えるだけでも最低なのに、そのうえ同じ時期に2人の子と付き合うだなんて。

 いくら自分がモテるからって、信じられない。クズ過ぎて引く……。


< 23 / 295 >

この作品をシェア

pagetop