イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない

◆スタートライン〜慧side〜



 翌日の昼。この日は週末で学校が休みのため、俺はさっそく実家へとやって来た。


 まだ昼過ぎだというのに暗くどんよりとした空は、まるで俺の今の心を表しているかのようだ。


 せめて青空だったなら、少しは気分も晴れるのに。


「ただいま……」


 実家の門をくぐり、重厚な扉を開けて俺が中に入ると、執事の寺内が一番に出迎えてくれた。


「慧さま、おかえりなさいませ。奥さまは、リビングにおられます」

「ああ」


 寺内に言われて俺がリビングに入ると、母はソファに座って何かを読んでいた。


「母さん、ただいま」

「けっ、慧さん!? お、おかえりなさい。思ったよりも早かったのね」


 俺の顔を見るなり、テーブルの上に置かれた数枚の便箋を慌ててしまう母。


 だが、便箋の1枚が母の手から滑り落ち、俺はそれを拾った。


「何これ、手紙……?」

「そっ、それは……!」


 珍しく焦った様子の母を変に思った俺は、拾った便箋に目を通す。


 その内容を見た瞬間、俺は目を大きく見開く。


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