α様は毒甘な恋がしたい

 ……覚えていますけど。

 2年半前のこと、かなり鮮明に。



 トゲトゲしていた戒璃くんが、だんだんと心を開いてくれたことも。

 お互いの指に張りついたシャボン玉を見つめて、「おそろいだね」って二人で微笑んだことも。

 大好きが募りすぎて爆動していた、私の心臓の暴れっぷりも。

 首を噛まれた時の甘い痛みも。

 最愛なる人の瞳に映った、幸福感に満ちた私の笑顔も……なにもかも。



 「覚悟を決めていいただいたのに、申し訳ありません」

 「それじゃ……」

 「トラブルのせいで美心と戒璃の関係は、まだ切れてはいません」


 ほー、そうなんだ。

 よかったぁ。


 「ったく、アイツ。暴走するのはライブだけにしろっつーの」


 ん? あいつ? ライブ?


 「雷斗、なんでこんな時にエレベーターを揺らすのですか! 儀式が終えられなかったじゃないですか!」

 「はぁ? なんで俺様を責めるんだよ!」
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