α様は毒甘な恋がしたい


「聖女の私は来る日も来る日も、城の壁にはりつけにされてね。強力なオメガフェロモンを放ってしまう薬を飲まされたの。そして国民が一人ずつ私の前に連れてこられて。なにも変化がない人は良人。私のフェロモンでその場にうずくまってしまった人は悪人と識別されたわ」

「祈さんをヒート状態にさせて、アルファをあぶりだしていたってことですか?」

「まだ幼い子でも、アルファだとバレた瞬間に親から引き離されてね」


「酷い。悪人扱いされたアルファは、そのあとどうなったんですか?」

「聞かない方がいいわ。吐きそうになるくらいエグすぎだから。アルファとバレたその日中に、彼らの魂は天に召されていたわ」

「……そんな」


「私は本当に辛かったの。壁にはりつけられた私の前に国民が連れてこられるたびに、『この人はアルファじゃありませんように』『私のオメガフェロモンに充てられませんように』って、祈り続けて。でも、生まれ持った第二の性はどう頑張っても変えられないじゃない? 今まで私に優しくしてくれた人も、この国のために尽くしてきた人も、かわいらしい子供たちでさえ、簡単に命を奪われてしまったわ」

「善良なアルファまで……信じられない……」

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