α様は毒甘な恋がしたい
「国に残っていた民たちに、裏切りオメガが嘘をついたのよ。聖女は敵国のスパイで、我が国を滅ぼすために聖女自らがオメガフェロモンを放ったって」
「そんな……酷い……」
「でしょ?」
「でも国のみんなは、そんなデマを信じなかったんじゃないですか? だって祈さんは毎回危険な戦場に行って、仲間の傷を治す女神様として、命がけで励んでいたんですから」
「嘘をつく人が多ければ多いほど、真実はかき消されてしまうものよ」
「……」
「その時初めて知ったんだけど、わが国のオメガたちの多くは、アルファが大嫌いだったの。生まれながらいろんな才能を持ち、何をやるにも秀でていて、自信家で、国のトップもアルファばかり。アルファがいなくなれば、オメガの自分たちが実権を握れるのにってね」
「……アルファ騎士団が敵国から守ってくれていたからこそ、国の平和が保たれていたのに」
「アルファが極端に少なくなった我が国は、オメガたちが国を支配するようになった。そして始まってしまったのよ。アルファ狩りが」
アルファ……狩り……
なんておぞましい響き……