腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー


「…………な」 

「だからおまえは自分の本音で彼氏と話せないし、俺と学生の時に毎日してた口喧嘩も、彼氏とすることができないんだろ」


 暖の言うことは癪に障ることが多いけれど、『本音で話せない』は確かにその通りで、尚人の機嫌ばかり伺って、口喧嘩もまともにしたことがない。


「おまえが何をしようがあまりしつこく言えないけど、結婚は惰性で決めんな。おまえの本音を受け止めてくれるやつと結婚しろ」

「……わ、私の本音なんて知ったら嫌われる」

「言ってみろよ、おまえの本音」


 尚人には言えないことを不満を零す。

 親の前でも、友達の前でも言えない。暖の前だから言えるような気がする。


「本当は毎日ご飯作るのだって面倒くさいし、お弁当くらい自分で準備してほしいし、洗濯物干すのも畳むのも手伝ってほしいし、食器も自分で洗ってほしいし、自分のことは自分でしてほしいし、汚部屋にしないでほしい。私も毎日キツイ……」


 自分の口から吐き出して気がついた。


 私の本音を聞いた暖は「そんなやつのどこが好きなんだよ」と呆れた声を零した。


 尚人が好きだの優しいだの言いながらも、いつのまにかこんなに不満が溜まっていた。いかに、自分自身の感情を嘘で塗り固めていたか、言葉にしてみて初めて気がついた。


「……私最低だ。尚人を責める資格ないし、浮気されて当然だ」


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