腹黒弁護士に囚われて、迫られて。ー輝かしいシンボルタワーで寵愛されていますー
「あれ? 戸締まり忘れましたかね。暖先生ー」
入口から真島くんの声が聞こえてきた。
……助かった。
真島くんの元に向かい顔を覗かせる。
「あれ? 和歌さん? 何してるんですか? 今、夜中の十二時ですけど……」
どうやってここに入ったんだという、疑いの目を向けられたため、「暖ならあっち」と、暖がいる奥の部屋を指さした。
「あー、もう。何してんだよ、あの人は! 和歌さん、変なことされませんでした!?」
「大丈夫、暖はそんなつもりじゃなくて」
部屋奥に入る真島くん。暖の腕を掴み戻ってきた。
「――事情は分かりました。仕事部屋は鍵を掛けているので、後は好きに使って下さい。ほら、暖先生、帰りますよー、アンタの私情を持ち込むのもいい加減にしてくださいねー! さすがに僕も庇いきれませんよー! あっ、和歌さん。これ事務所の鍵です。持っててください。では、おやすみなさい」
真島くんは暖を連れて、嵐のように去って行った。