つれない男女のウラの顔
思いが通じあって、舞い上がってしまった。
昨日受け取った手作りのお菓子が、俺のために作られたものだと知って余計に気持ちが高ぶった。
かと思えば幼なじみの話をする彼女に、柄にもなく嫉妬してしまった。
隣にいるとすぐに唇を奪ってしまう。
その熱に触れる度に理性を失いそうになる。
必死に受け止めようとする花梨がまた愛しくて、この腕の中に閉じ込めておきたいとすら思ってしまう。
追い討ちをかけるように鼓膜を揺らした花梨の甘い声。俺の首に手を回し、時折熱い視線を向けながら俺の名前を呼ぶ。
「旭さん、私いますごく幸せです」
俺の理性をぶっ飛ばすには充分だった。
ここまでくると歯止めがきかなくて、今度は彼女の耳元や首筋に唇を這わす。
───と、ふと彼女が強く目を瞑っていることに気付いた。全身に力が入っていて、もしかして無理をしているのではないかと我に返る。
「嫌ならこれ以上はしない」
「いや…なわけ、ないですよ…」
念の為確認を取ってみると、顔を真っ赤にした彼女は熱を孕んだ瞳で俺を見つめながら力なく頷いた。
少し心配になりながらもベッドに移動して部屋を少し暗くした。こういう経験が無さ過ぎてこのまま進んでもいいのか、一旦落ち着いた方がいいのかが分からない。
ただ目の前の愛しい彼女を見ていたら、どうしても気持ちが抑えられなかった。
ゆっくり、丁寧に。花梨の緊張が少しでも解れるように、自分なりに気を使いながら進めていたつもりだった。
彼女の身体が反応する度に嬉しくて、何度も理性を失いそうになっては、彼女の緊張を読み取って我に返る。
このまま少しずつ進めていけば何とか…と思った矢先、花梨が涙目になっていることに気付いて手を止めた。
馬鹿だ。調子に乗りすぎた。完全に怖がってんじゃないか。てか思いを伝えた瞬間に手を出すってどうなんだ。
真昼間からなにを盛ってんだよ。そもそもアレも持ってないぞ。いや、数年前の誕生日に友人がふざけてプレゼントしてきた物が押し入れの奥の方にあるが、まだ使えるのかどうかも分からない。
「ごめんな」
咄嗟に謝ったが、許してもらえるだろうか。
早速格好悪すぎるだろ。