つれない男女のウラの顔
長年抱えてきたこの悩みを理解してもらえたことが純粋に嬉しかった。それどころか共感してもらえたのは初めてだった。
もしかすると私は、心のどこかでずっとこうして誰かに話を聞いてもらいたかったのかもしれない。“分かる”の一言が欲しかったのかも。
「ありがとうございます…」
再び顔が熱くなる。成瀬さんの顔も見ていないのに、どんどん脈がはやくなる。
「私のこの秘密を知っている友人…あ、八田マイコのことなんですけど、彼女には“秘密にする必要はない”って言われるんですけどね。やっぱり恥ずかしくて」
「八田…あぁ、だからあの日一緒にいたのか。まぁこればっかりは本人にしか分からないから、無理に打ち明ける必要もないだろ。いちいち説明するのも面倒だしな」
「そうですよね…」
一応成瀬さんは上司だ。なのに自分の話ばかりで、彼には大変失礼なことをしているという自覚はある。だけど成瀬さんとの会話は不思議と心地良かった。
こんなにも躊躇なく自分のことを話したのは、マイコ以外では初めてだ。それは成瀬さんが同じ体質だからなのか、それとも話しやすい空気にしてくれているからなのかは分からない。
ただ彼からは、他の人から感じたことのない包容力のようなものがある気がした。年上の男性だから落ち着いているというのもあるのかもしれないけれど。
あとは、この1枚壁の存在がとても大きい。
今の私の顔は、絶賛沸騰中だけど。
成瀬さんはいま、どんな顔をしているのだろう。