冷酷な御曹司は虐げられた元令嬢に純愛を乞う
夕方6時過ぎ、何とか仕事を切り上げて鈴木の迎えの車に飛び乗る。

甘味処はまだ開いているだろうか?

気にして車窓から空いている店を探す。

すると、店仕舞いしている一軒のあんぱん屋を見つけ、慌てて降りてあんぱんを買い求める。

売れ残りを全て買い閉めて車に戻る。

「買う事が出来てよかったですね。」
鈴木が暖かな目を向けそんな司に優しく微笑む。

「これからは、先に予約しておく事にしよう。」

「事付けて下さいましたら、私が先に買っておきましょうか?」
鈴木がそう提案する。

しかし、それでは納得いかないのだ。

自分の目で見て、彼女の事を思い自らの手で買う事に意味があると思う…。

「いや、いい。俺が自分で探して買いんだ。」

出来れば、莉子の喜ぶ笑顔は俺が独り占めしたい。
そんな小さな独占欲が芽生える。
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