65リットルよりも、笑って。




「なゆちゃん、保護者の方がロビーで待ってるって。ほら急いで急いで」


「え、ちょ、」



クリスマスパーティーも終盤。

そこで動いたのは間宮 美子という看護師だった。



「ちょうど良かった。斑鳩くんもこのまま帰るなら、なゆちゃんを送ってあげてくれる?」


「……わかりました」



そう言って「外泊、ゆっくりしてきてね」をコソッと追加させて、私たちの背中をポンッと押した美子ちゃん。


だれも疑う人間などいない。

子供たちもクリスマスメニューやテレビに夢中で、その隙をそうっと抜けるようにロビーへ。


もちろんそこには保護者の姿はなく、私たちの姿のみ。



「……先生って、通勤は電車?」


「…今日は車」


「わっ」



くいっと手が引かれる。


そのまま病院を出れば、冬の匂いと冷たい風が頬を撫でてきた。

それさえ足りないと思ってしまうくらい、胸はドキドキと鳴っては熱い。



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