65リットルよりも、笑って。
「って、思うようにしてるんだ~」
これが、院内を移動するだけで向けられる視線の対処法。
隣を歩く担当医は反応に困ったのか、無反応だった。
だから代わりにニッと笑ったとき。
「────なゆ…っ!」
それはかつて聞いてたようで、誰だっけとも思わせてくる声だった。
ピタリと止まった足運び。
松葉杖を頼りにゆっくり振り返った私の前、顔を見てから思い出す。
「……はるみ、お姉ちゃん…?」
「なに…、してるの、あんた……」
「…なにって、なにが?」
信じられないようなものを目にした顔。
本当になにも伝えてなかったんだね、おばさん。
それまで一緒に暮らしていた親戚のお姉ちゃんは、震えながら私に近寄ってきた。
「…なに…それ…、どうして松葉杖なんかしてんのよ、」
「……先生、部屋に戻るよ私」
「…彼女はどうする」
「一緒に連れていく」