65リットルよりも、笑って。




「落ち着いて。彼女の身体に障ります」


「っ、だって……」



わかるよ。

こんなことを今日はじめて知ったのなら驚いて当たり前だ。


ちょっと物忘れがひどくて抜けている妹みたいだった存在が、病院でしっかり闘病生活してるんだもん。


びっくりするよね、そりゃあ。



「私、…病気なんだ」



なんか、前にもこんなことがあった気がする。

すごい悲しかったことだけはぼんやり。
なにがあったんだっけ…。


同じようなことを誰かに言ったら、すごいひどいことを言われたんじゃなかったっけ。


なにを言われたか、だれに言われたのか、もう覚えてすらないんだけど。



「病気って…、なに…?」


「…ガン、みたいで」


「……がん…?」



嫌だよね。
ひとって本当に、だらしがなくて愚かでダサい。

手遅れになってから気づき始めるんだから。


どうしてああしなかったんだろう、あんなこと言っちゃったんだろうって、失ってから気づくことばかり。


むしろ1度ガツンと失わなって食らわなければ気づけないのが人間だと思う。



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