65リットルよりも、笑って。




私は幸せ。
すっごくすっごく、誰よりも幸せな女の子!

だって大好きな人とデートしてさ、ふたりだけの時間を過ごして。


いつも泰斗くんはいろんな患者さんを相手にして、若い看護師さんたちと話して、私それちょっと嫌だったから。


でも今日、私が独り占めできちゃった〜。



────そんな、そんな彼女の声が聞こえた気がした。



「しあわせ……って…、今日だっておまえ…」



子供にも笑われてたんだぞ。

通りすぎる人間たちはみんな見て、気遣う目を向けて、あまり見てはいけないからと決まって逸らす。


「障害を持っている人」だなんてハッキリ言われて、隣にいる俺は耐えられなかった。



「なのに…、幸せって……、」


「…し……わせ、よ」



─────幸せよ。


ずっとそう言ってたのか、おまえは。

俺のそでを握って、ゆっくり見上げて、何度も何度も。


朝会ったとき、ヘビを見ているとき、お昼ご飯を食べているとき、一緒に写真を撮っているとき。


………そうだ、そうだった。



「ずっと…、言ってたよなあ……っ」



ポタリポタリと止めどなく流す俺に伸びてくる、あたたかい手のひら。

俺の涙を拭ってはゆっくりと紡がれる、「しあわせ」という言葉。



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