65リットルよりも、笑って。
「平気だよおばさん。そっちも忙しいだろうし、あまり無理しないで」
ひとりで受けた検診、ひとりで受けた検査。
普通であれば保護者が付きっきりで隣にいてくれるんだろうけど、私の場合は親じゃなく親戚。
小学生の頃から一緒に生活していたとしても、本当の親じゃない。
向こうにとっても私は本当の子供ではない。
だから、ひとりで大丈夫だと、ちょっとだけ強がった。
「この結果で治療の方法を決めていくんだって。たぶんいちばん最初は抗がん剤を打つことから始まるんじゃないかな〜」
『…そう』
ほんとうは、選べた。
選択肢があった。
昨日、主治医である渡会先生から提出された今後の動き。
自宅か病院か、それは患者側に選ぶ権利があると。
つまり自宅療養を選んだ場合、残された時間を家族と過ごすということ。
病院を選ぶなら、残された時間を医療技術に頼って繋いでみるということ。
どちらも正しくて、どちらも苦しい選択だった。