65リットルよりも、笑って。
そして私は病院を選んだのだ。
もちろんそこには親戚たちの意向も含まれていた。
「あ。あと、…春海お姉ちゃんにゲームありがとうって伝えておいてくれる?」
ボストンバッグのなかに入っていた携帯型ゲーム機。
私自身あまりやらないんだけど、たぶん親戚のお姉ちゃんの気遣いと優しさなんだろう。
彼女がハマっているらしいアイドルと恋する恋愛シミュレーションゲーム。
いわゆる乙女ゲームってやつ。
退屈な入院生活の暇つぶしにはなるんじゃない?の気持ちか、ソフトはそれしか入っていなかった。
「…うん、じゃあまた」
スマホを閉じて、待合室の端っこ。
ふうっと息を吐いた私の前、ひとつのペットボトルが背後から差し出される。
「……なんでエナジードリンク?」
「…お返し」
「お返し?なんの」
普通こういうときって、水かお茶じゃないの?
医者が大切な大切な患者にエナジードリンク渡してくるなんて聞いたことないんだけど。