家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる
広場
広場へ出ると人々の喧騒は大きくなった。
おいしそうな香り、楽しそうな音楽、笑い、踊る人々。

「わぁ……!」
鉄格子の中から見た光景と同じものだとは思えなかった。

目の前にある光景は今までソフィアは触れたくても決して手の届かなかった景色だ。
その中に今自分も立っている。

それがとても信じられなくて、何度も自分の頬をつねった。

呆然と立ち尽くしているソフィアの横を子どもたちが笑いながら走り抜けて行き、ようやく我にかえったソフィアは邪魔にならないように通路の横へと移動した。

みんなキレイな服を着ている中、自分はこじきみたいにみすぼらしい姿だ。
そのうえ靴もはいていない。

そのことに気がついて突如気後れしてしまった。
こんな妙な女がいたら王様に報告されるかもしれない。
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