天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
「これは真眩鏡といって、触れた人の過去を見ることができる。どの部分を見せたいかは触れた本人が決めることができるし、重要な部分だけゆっくり見せることもできる。さらに、数年を数秒で見せることもできる」

「数年を数秒で? どうやって?」

「まあ、見ていればわかるよ。元々は、罪なき罪人が自分の無実を証明するためのものだ。誰かの過去を見たいからといって自由に見られるものではなく、本人の意思が尊重される」

 雲朔は真眩鏡をじっと見つめ、そして静かに黒鏡に指先を触れた。

 すると鏡は水面のように揺らめき、そして私がよく知る幼き日の雲朔の姿を映し出した――



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