天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
雲朔が目を覚ますと、簡素な山小屋の中にいた。暖かな暖炉があり、古びた布団もかけてもらっている。

 そこには白髪で目を黒布で覆っている初老の男性が暖炉に火をくべていた。盲目のようだが、まるで見えているかのように不便なく動いている。さらに、毛皮の短衣の上からも筋肉隆々で鍛え上げられた体だったので、只者ではないことが一目でわかった。

 その後雲朔は、その老人から厳しい訓練を受けている映像が映し出された。その老人は、まるで仙人のような不思議な術を使っていた。人間とは思えない身のこなしに、雲朔は何度手合わせしても打ち負かされる。

 そして数年が経ち、雲朔はすっかり精悍な青年へと成長した。小柄で細身だった体型は、背がぐんと伸び、腹筋も割れている。

 すぐに負けていた老人との手合わせも、互角に戦えるようになっていた。

 そして雲朔は老人に別れを告げ、崑崙山を下りた。それから少しずつ仲間を集め、兵力を強めていった。
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