天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
 そうだ、流行り病は一番怖ろしい。病が伝染しない前に村ごと焼き放てば犠牲は村内だけで済む。

(でも、死ぬような怖ろしい病じゃなかったのに! 数日すれば治るようなものなのに!)

そんなことを錦衣衛に伝えたとしても、果たして信じるだろうか。

 流行り病という言葉だけで過剰に反応して、村ごと全て焼き放つことは考えられることだ。

新皇帝はとても残虐だという。小さな村が一つなくなったところで痛くも痒くもないだろう。取るに足らない存在だからこそ、もっと慎重にならなければいけなかった。

(あいつらは、私たちなんて虫けらのようにしか思っていない。皆殺しにすることにためらうはずもないのよ)

 足がもつれて、息が上がる。体力はもう限界をこえているはずだが、歩みを止めなかった。

 村人が残っていると知ったなら、奴らは迷うことなく斬り捨てるだろう。

 亘々ならば、『お嬢様! 来てはいけません!』と制するはずだ。

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