君がくれた涙はきっと光となる
一瞬頰が引きつったけど、なんでもない風を装って口を開く。



「あの人は鳴海(たく)。私のお父さんの弟なの。つまり、叔父さん。私の両親はどっちも死んじゃっていないから、叔父さんが私の両親代わりみたいなものなの」


「あ…そうなの」



なんとなく気まずい雰囲気になってしまい、どうしようと考えていると、タイミングよく叔父さんが飲み物を持ってきてくれた。



「…あのさ」



真正面に座る流川くんが、どこか緊張した顔で私を見つめてきた。



「小雪って、お兄さんいるよな…?俺、昔に小雪のお兄さん、由紀(ゆき)くんによく遊んでもらってたんだ。突然いつもの公園に来なくなって、由紀くんとはそれっきりだったんだけど高校入って由紀くんの妹がいるって知って。由紀くんからよく小雪の話も聞いてたから、すぐにわかったよ。高二になって小雪と同じクラスになれて、仲良くなれたら由紀くんのこと聞こうと思ってたんだ。俺、もう一度由紀くんと会いたくて」



…そう、だったんだ。


流川くんはお兄ちゃんの妹だったから、私に気づいてくれたんだ。近づいてきたんだ…。


この前お店に来たのも、きょろきょろと辺りを見渡していたのも、全部お兄ちゃんを探していたから。



流川くんが必要としていたのは、お兄ちゃんだったんだ…。



「小雪…?」


「ちょっと、鳴海さん。大丈夫?」


「どうしたんだ?」



三人が心配そうに顔を覗き込んできたが、呼吸のしづらさは変わらない。
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