君がくれた涙はきっと光となる
お兄ちゃんが死んでから、私は泣けなくなった。


私の中から涙がなくなってしまった。



「お兄ちゃんじゃなくて、私がいなくなるべきだったの。だからお兄ちゃんへのせめての償いとして、私は私の心を殺した。笑うことも泣くこともできないように。お兄ちゃんが過ごすはずだった、幸せな日々を送らないように」



…流川くんはこの話を聞いて、どう思ったんだろう。


私に幻滅したかな。流川くんの好きだった“由紀くん”が私のせいで死んだんだから、そりゃ怒るよね。



…それでもよかった。私は怒鳴られる覚悟だってできている。



「…由紀くんは、自殺なんかじゃないと思う」


「…え?」


「たしかに辛い思いはしてたんだろうけど、だからって由紀くんは自殺なんてことはしない」


「でも…そんなのわからないよ。実際に飛び出してきたって運転手の人が言ってるんだし、私がお兄ちゃんを苦しめて追い込んだんだよ」


「飛び出したのには何か理由があったんだよ、きっと。俺は絶対に由紀くんが小雪のせいで死んだなんて思わない」



流川くんがどうしてそんなに言い切れるのか、わからなかった。


私だってお兄ちゃんが自殺をするとは思えなかったけど、よく考えれば考えるほど私のせいだと実感して、それが一番しっくりときたから。



だからこそ、お兄ちゃんの幸せを奪ってしまった私が、幸せになる資格なんてないとずっと思ってきた。



「俺が、小雪はここにいていいって何度もそう思わせる」


「…え?」
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