君がくれた涙はきっと光となる
「あーちょっとそこで待ってて」



言われた通り玄関横で待っていると、永野さんがお茶の入ったコップを持って戻って来た。



「ここが私の部屋」


「わあ、永野さんぽくて可愛い部屋…」



案内された二階にある永野さんの部屋は、女の子らしい薄いピンク色の家具で統一されていた。



「早速数学、教えて欲しいんだけど」


「あ、うん。私でわかるところだったら」



お母さんと離れてからも、昔から身についていた勉強癖はなかなか治らなくて暇さえあれば勉強ばかりをしていたため、ある程度成績は上の方だった。


友達もいなかったし、やることがそれくらいしかなかったせいでもあるけど。



「ふーん、やっぱり鳴海さんの教え方わかりやすいや」


「え、本当…?」



今まで仕方なくやっていた勉強が、今初めて役に立った。


やっててよかったなあ。





「…疲れた」



それから永野さんに教えたり自分のを解いたりと、黙々と勉強をすること二時間。
< 50 / 66 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop