君がくれた涙はきっと光となる
向き合う傷
「ねえ鳴海さん。今日は私と二人で、勉強会しよ?」


「…え?」



昨日あんな態度を取ってしまい、永野さんと間宮くんに謝るタイミングを伺っているうちに、あっという間に放課後になっていた。


まさか永野さんから私の方に話しかけてくれるなんて思ってもいなくて、空いた口が塞がらない。



「私の家でいい?今金欠でどっか入ってる余裕ないのよね」


「あ、うん…って、どうして急に…?というか、昨日はごめんなさい…」



校門を出たあたりですんっと素になった永野さんに、恐る恐る謝る。



「ああ、別に。誰にだって触れられたくない過去くらいあるでしょ」


「え…」


「無理に話さなくていいわよ。別にあんたの過去とか興味ないし。ただ昨日は勉強会どころじゃなかったでしょ?鳴海さんって頭はいいって桐生先生に聞いたことがあるのよ。だからわからないところを教えて欲しいの。輝来たちを呼んでまた勉強にならなかったら嫌だから二人でいいかなって。それともなに、私と二人じゃ不満?」


「いやいや!そんな、滅相もない…」



ただ、永野さんと二人きりなんて初めてで、緊張する。



「ここよ。今家には誰もいないから、気を遣わなくていいわ」


「お、お邪魔します…」



連れられるようにして来た永野さんのおうちは可愛らしい一軒家で、外には育てているのか何かの花の植木鉢がいくつか置かれていた。
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