White/Black〜シロかクロかそれとも愛か〜
Prologue

Prologue

「3日に1回、昼食の時に飲んでね」


「はい、わかりました」


青と白で閉じられたカプセル薬が1ヶ月分、処方される。


この薬はいつも草刈(くさかり)先生から直接受け取っている。


草刈凜(りん)32歳男性。精神科の名医。


穏和な空気感と、優しげな声は中性的な名前のイメージと合致する。


実の親からネグレクトを受けてダメージを負った私のココロを癒やそうとしてくれている、優しい先生。


丸顔の天然パーマに丸眼鏡、若干ヨレれている白衣、少し散らかったデスク、微妙に時刻のズレた腕時計。


草刈先生のまったりした空気は、私を安心させてくれる唯一の場所だ。


「あの…先生」


「ん?」


「この薬を飲んだ日の夜、よくおかしな夢を見るんです」


この薬を飲み始めて2年。


ずっと気になっていた。


この薬のせいなのか、たまたまなのか。


「おかしな夢?どんな?」


先生は中指でクイッと眼鏡を押し上げ、私の目をジッと見つめる。


眼鏡の下の白い肌とパッチリした目。
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