White/Black〜シロかクロかそれとも愛か〜

友だち

落書きだらけの屋上から見える、荒んだ街並み。


まるで私のココロのようだ。


幸い今日は風が強く屋上には誰もいない。


赤いスプレーで“死ね”“カス”と書かれたベンチの上に腰を下ろす。


柵越しに見える街並みの中で唯一綺麗なのは、校門へ続く桜並木だけ。


この桜ももうじき散ってしまうだろうから、数日後には綺麗な姿は消えてなくなっている。


散っても散っても、春になると必ず美しい花を咲かせる桜。


生まれ変わったら桜になりたい。


皆に愛されて、沢山の人に必要とされる桜に。


「隣、座っていい?」


「え…?」


甘い匂いを纏った茶髪の男子がトンッと隣に座った。


パーマをあてた茶髪と、クリクリの目、そしてニコニコした人懐っこい笑顔がまるで子犬のよう。


「キミが真白唯ちゃん?」


え……。


なんで私の名前を…?
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