White/Black〜シロかクロかそれとも愛か〜
「前に会った時とはだいぶ雰囲気違うな。学校では本性出さねぇの?」


シロは困惑しきった顔で俺を見上げる。


「人違いじゃないですか…?あの…離してください…。皆見てるし…」


なんだ、この弱々しいオーラは。


この前の圧倒的なオーラを微塵も感じさせない、暗くて湿りきった雰囲気。


…どうなってんだ?


演技か?別人か?


演技だとすればアカデミー賞ものだろ。


「…これぐらい自力で振り払えるクセに」


こいつはシロなのか、別人なのか。


「本当に意味がわからないです…」


声の出し方も、目の動き方も、何から何まで違う。


まさか本当に別人?


いや、でも、顔はまったく同じだ。


「きっと、神月先輩が思ってるのとは違う人だと思います。私は真白唯です」


「真白唯…」


こいつがシロだとしたら、俺に本名を名乗るはずがない。


マシロ…シロ…。


「ふーん…」


偶然か?


「あだ名は?」


「あ、あだ名?そんなの無いです」


この前見たシロからは想像もできないような寂しげな表情。


…友だち、いねぇのかな。


まぁあんなめんどくせぇ性格してりゃ、友だちなんかできねぇか。
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