新そよ風に乗って ⑧ 〜慕情〜
「別れた彼女の為か?」
うっ。
高橋さんは、 相変わらず直球でズバッと中原さんを見ながら言った。
「いえ、 自分の為ですかね」
「誰しも、 自分の為に生きていると思う。 でも、 お前もそれはいつしか誰かの為だと思うようになるはずだ」
「自分の為に生きる事が、 誰かの為なんですか?」
中原さんは、 解せないと言った言い方だった。
「そうだ。 俺も自分の為だけに生きてきた。 だが、 それは年月を追う毎に、 誰かの為に生きていると思うようになった」
「おっしゃっている意味が、 俺にはわかりません」
「まあ、 聞け。 例えば、 自分の幸せが誰かの幸せと同じだなんて、 偽善だと思うだろ?」
「はい」
中原さんは、 それは納得しているようだった。
ふと山本さんを見ると、 タバコを燻らせながら高橋さんの話に耳を傾けている。
「でも、 いつ頃からか自分の幸せが誰かの幸せと同じだという事と、 切り離せなくなってしまっていたんだ。 よく言うような? 子の不幸は親の不幸と言うように、 それに気づくまで、 かなり遠回りを俺もしたんだが……」
高橋さん……。
「自分が幸せでなければ、 相手も幸せには出来ない。 よく言う、 一緒に幸せになろうっていうのは、 俺はあまり好きじゃない。 一緒に居れば、 幸せになれるのか? それは言葉では簡単に言えるが、 実際はそうではないと思う。 一緒にいる歳月が経ち、 振り返ってみた時に、 初めて幸せだったかどうか、 その応えが分かるんじゃないかって。 だから、 まだ不確かな自分のままで、 矢島さんといつも一緒にいたからといって、 本当にお互いが幸せになれるかと言ったら、 それはわからない。 お互いのどちらかの人生が先に終焉を迎える時。 ああ、 この人と一緒にいられて幸せだったと思う、 もしくは思われるような人生に、 俺はしたいと願っている」
高橋さん……。
「高橋さんは、 俺の言っている事は間違っているとおっしゃりたいんですか?」
中原さんが、 高橋さんをジッと見た。
うっ。
高橋さんは、 相変わらず直球でズバッと中原さんを見ながら言った。
「いえ、 自分の為ですかね」
「誰しも、 自分の為に生きていると思う。 でも、 お前もそれはいつしか誰かの為だと思うようになるはずだ」
「自分の為に生きる事が、 誰かの為なんですか?」
中原さんは、 解せないと言った言い方だった。
「そうだ。 俺も自分の為だけに生きてきた。 だが、 それは年月を追う毎に、 誰かの為に生きていると思うようになった」
「おっしゃっている意味が、 俺にはわかりません」
「まあ、 聞け。 例えば、 自分の幸せが誰かの幸せと同じだなんて、 偽善だと思うだろ?」
「はい」
中原さんは、 それは納得しているようだった。
ふと山本さんを見ると、 タバコを燻らせながら高橋さんの話に耳を傾けている。
「でも、 いつ頃からか自分の幸せが誰かの幸せと同じだという事と、 切り離せなくなってしまっていたんだ。 よく言うような? 子の不幸は親の不幸と言うように、 それに気づくまで、 かなり遠回りを俺もしたんだが……」
高橋さん……。
「自分が幸せでなければ、 相手も幸せには出来ない。 よく言う、 一緒に幸せになろうっていうのは、 俺はあまり好きじゃない。 一緒に居れば、 幸せになれるのか? それは言葉では簡単に言えるが、 実際はそうではないと思う。 一緒にいる歳月が経ち、 振り返ってみた時に、 初めて幸せだったかどうか、 その応えが分かるんじゃないかって。 だから、 まだ不確かな自分のままで、 矢島さんといつも一緒にいたからといって、 本当にお互いが幸せになれるかと言ったら、 それはわからない。 お互いのどちらかの人生が先に終焉を迎える時。 ああ、 この人と一緒にいられて幸せだったと思う、 もしくは思われるような人生に、 俺はしたいと願っている」
高橋さん……。
「高橋さんは、 俺の言っている事は間違っているとおっしゃりたいんですか?」
中原さんが、 高橋さんをジッと見た。