新そよ風に乗って ⑧ 〜慕情〜
「ちょっと社長に呼ばれてるんで、 行ってきます」
「分かった」
私は目を合わせるのも苦痛に感じて、 下を向いたまま席に着いた。
この先、 坂本さんと上手くやっていく自信が、 既にこの2日目にしてなくなってしまっていた。
「中原」
「はい!」
「ちょっと、 いいか?」
「はい」
「矢島さん。 ちょっと、 中原と会議室にいるから」
「はい。 いってらっしゃい」
高橋さんには、 素直に返事ができる。
でも……。
そして、 会議室から戻ってきた高橋さんと中原さんは、 そのまま何事もなかったようにまた仕事に戻り、 月末という事もあってその日も残業になってしまっていた。
「それじゃ、 お先に」
エッ……。
ふと顔を上げると、 ジャケットを羽織りながら帰り支度をしている坂本さんの姿が、 目に飛び込んで来た。
「お疲れ様」
う、 嘘でしょう?
高橋さん。 何で止めないの? まだ仕事が山のように、 残っているのに……。
「お疲れ様でした」
中原さんまで、 そんな事を言っている。
「お、 お疲れ様でした」
仕方なく、 私も同じ事を言った。
だが、 高橋さんも中原さんも、 そのまままた仕事に直ぐ戻っていた。
こんなのって……あり? 管理職が先に帰るだなんて……。
その日は結局遅くなり、 高橋さんに車で送ってもらった。 坂本さんの話を言いたくて仕方なかったが、 上司の高橋さんが坂本さんを見ている以上、 言える立場にないことを理解していた。
帰り道、 信号待ちをしながら高橋さんがこちらを向いた。
「8月6日から12日まで、 お前夏休み取れ」
「えっ?」
高橋さんが、 何を言いたいのかよくわからなかった。
「何で……ですか?」
「一緒に、 ニューヨークに行く」
「は、 はい?」
「分かった」
私は目を合わせるのも苦痛に感じて、 下を向いたまま席に着いた。
この先、 坂本さんと上手くやっていく自信が、 既にこの2日目にしてなくなってしまっていた。
「中原」
「はい!」
「ちょっと、 いいか?」
「はい」
「矢島さん。 ちょっと、 中原と会議室にいるから」
「はい。 いってらっしゃい」
高橋さんには、 素直に返事ができる。
でも……。
そして、 会議室から戻ってきた高橋さんと中原さんは、 そのまま何事もなかったようにまた仕事に戻り、 月末という事もあってその日も残業になってしまっていた。
「それじゃ、 お先に」
エッ……。
ふと顔を上げると、 ジャケットを羽織りながら帰り支度をしている坂本さんの姿が、 目に飛び込んで来た。
「お疲れ様」
う、 嘘でしょう?
高橋さん。 何で止めないの? まだ仕事が山のように、 残っているのに……。
「お疲れ様でした」
中原さんまで、 そんな事を言っている。
「お、 お疲れ様でした」
仕方なく、 私も同じ事を言った。
だが、 高橋さんも中原さんも、 そのまままた仕事に直ぐ戻っていた。
こんなのって……あり? 管理職が先に帰るだなんて……。
その日は結局遅くなり、 高橋さんに車で送ってもらった。 坂本さんの話を言いたくて仕方なかったが、 上司の高橋さんが坂本さんを見ている以上、 言える立場にないことを理解していた。
帰り道、 信号待ちをしながら高橋さんがこちらを向いた。
「8月6日から12日まで、 お前夏休み取れ」
「えっ?」
高橋さんが、 何を言いたいのかよくわからなかった。
「何で……ですか?」
「一緒に、 ニューヨークに行く」
「は、 はい?」