マフィアのお兄ちゃん、探してます

玉入れ!

応援席から身を乗り出して食い入るように見つめる。
「おらァァァァっ!」
わわわっ、青チームのDFが赤チームのOF吹っ飛ばしたっ!?
「負けるかよぉっ!」
今度は赤チームが青チーム殴った!
なんでもありじゃん……!
「っ、はく危ない!」
「え?」
海の手が目の前に……?
直後にバシンッと鈍い音がして、ぽとりと地面に落下していく赤色の玉。
「怪我はない? 大丈夫?」
「うん……ありがとう」
怖っ……。こんなとこまで玉飛んでくるの!?
絶句していると、また玉が飛んでくる。
「うぉわっ!」
パシッと玉を受け止めると、足元にそっと置く。
髪の毛を手で軽く梳きながら勝敗を見守る。
「そこまで!」
ピピーッと笛が鳴らされ、全員がその場にしゃがむ。
「いーち、にー、さーん……」
玉を投げて数え始める審判の人。
結果は……赤36個、青41個で青チームの勝利!
「やったぁぁあっ!」
応援席でぴょんぴょん飛び跳ねる。
「ナイスー!」
戻ってきた青チームの人達とハイタッチしていく。
「お疲れ様です!」
「タオルいりますか?」
「誰か水くれ〜……」
自分より何個も年上の人と話すのはめちゃくちゃ緊張したけど(笑)。
色んな人にドリンクを配ったり、タオルを渡したりお手伝いしたよ!
「ではこれより30分間の休憩を行う!」
ふぅ……疲れたぁ〜……。
一息つこうと、お水の入ったペットボトルのキャップを外したとき。
……ブーッ、ブーッ、ブーッ!
部屋が突然暗くなり、赤い光が部屋に立ち込めた。
「わっ、何なに!?」
すると、海と悠里の顔が青ざめていく。
「全員配置につけ!」
真央さんがそう指示を飛ばすと、バッと皆が走って部屋を出て行った。
「どうしたの?……ねぇ皆……?」
うろたえていた俺の手は誰かに引っ張られて。
顔を見上げると……。
「っ、星願……!?」
「まずリビング行くよ、白露!」
星願の目はギラギラしていて、ハイライトが無かった。
そのただならぬ雰囲気に大人しく黙り込み、星願に置いていかれないように全力で走り始めた。
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