マフィアのお兄ちゃん、探してます

人を捜してる人達

アールアールへの加入が決定して、ほっと息をつく。
良かった……無事に事を終わらせることができて。
すると、真生さんが声をかけてきた。
「白露様、お兄様方のお名前を教えて頂けますか」
「どうしてですか?」
俺の名前ならともかく、お兄達の名前をホイホイ教えることはできない。
「アールアールにも、白露様と同じ条件でお仕事をされている方も多くいます。その方たちにも御協力頂こうと思いまして。白露様と歳も近く、仲良くできると思いますよ」
歳が近い……人を捜してる。
共通点が多くて、ちょっと気になる。
「それは、俺が直接会うことは出来ないんですか?」
「では、聞いてみましょう」
そう言うと真生さんはスマホを取り出して、何やら操作をし始めた。
数分後。
「お待たせ致しました、白露様。明日の放課後は空いていらっしゃいますか?」
明日の放課後……。
「はい、あいてます」
「では、明日の放課後にまたこのアジトに来てくだされば、私がご案内できます」
まぁ、さすがに今日は無理だよね……。
わかりました、と言って頷き、湊の方へ行く。
「湊~、明日も来ていいんだよね、俺?」
「あー、基本仕事が無い日は来たい時に来るって感じだな。はくはすぐ仕事が入ると思う」
すぐに仕事……不安だなぁ……。
湊は、俺の不安げな雰囲気を察知したのか、ニカッと笑ってくれる。
「大丈夫だって!最初の数回は俺がついて行くし、基本アールアールの仕事はペアだからな」
そうなんだ……確かに、1人の方が不安だし。
100パーセント、味方がいた方が心強いに決まってる。
そう考えていたとき。
「あの……白露様!」
後ろからぽんっと肩を叩かれ、振り返る。
「はい、何ですか?」
立っていたのは、そんなに歳が変わらなそうな男の子。
「白露様は、おいくつですか?」
「俺は、今年で15になります。まだ14歳ですけど」
その答えに、ぱっと顔を上げる目の前の彼。
「本当ですか!?俺も、15歳なんです!」
改めてよく見ると……本当に整った顔。
薄い水色の髪の毛は首より少し伸びていて、いちご色の瞳が煌めく。まつ毛が長くて、綺麗な二重で、目もぱっちりしてて。
背はあまり変わらないんじゃないかな……?
でも向こうの方が若干高い気がする。
「とゆーか、同い年ならタメ口でよくない?」
相手の男の子はそう言って、ニコッと笑った。
「俺、速水星願(はやみきらり)でーす!星願って呼んでね!」
速水、星願くん。同い年だし、星願って呼ぼうかな。
「あっ、おい星願!抜け駆けすんなよ!」
星願の友達らしきメンバーが走ってきて、星願に抱きついた。
「白露さん、僕は鈴城海(すずしろかい)です!仲良くしてくださいね!」
「俺は石橋柊馬(いしばしとうま)って言います!宜しく!」
「最後は俺、西町悠里(にしまちゆうり)です。よろしくお願いします」
海くん、柊馬くん、悠里くん。
「よろしく……!」
ぺこりと頭を下げると、4人はにっこり笑った。



次の日。
担任の吉田先生に早退届けを書いてもらい、湊と一緒に早退する。
吉田先生にアールアールに入ったことを伝えると、
「お、そうなのか!良かったな、頑張れよ」
と言って笑ってくれた。
優しい先生で良かった……!
「あざした。はく行くぞ!」
「はーい。じゃあ、先生ありがとうございましたっ」
そう言って足早に職員室を出た。



「はく、早く道覚えろよ?いつまでも俺と出るタイミングが一緒とは限らねーんだから」
「えー、俺道覚えるの苦手……」
喋りつつ足を動かして、アジトに着いた。
それにしても……人捜しをしている年齢が近い子達って誰だろ?
仲良くなれるといいけど……。
湊からパスワードを教えて貰い、試しに開けてみる。
ちゃんと扉が開いて、安心しながら中に入る。
「白露様!お待ちしておりました。どうぞこちらへ」
入って早速真生さんに呼ばれ、湊に手を振って別れる。
「あの……人を捜してる人達って何人くらいいるんですか?」
「アールアールでは10人ほどおりますが、今日ご案内する白露様とご年齢が近い方々は2名ですね」
そして、真生さんは廊下に並ぶドアの中から1つをノックした。
「失礼します、白露様をお連れしました」
「どうぞ、開いてます」
ガチャリとドアノブを捻り、ドアを開けてくれる真生さん。
そっと中に入ると、ホテルの一室みたいな感じのお部屋が広がっていて。
ソファーでくつろいでいる男の子が2人。
赤髪の子と、水色の髪の子。
「初めまして、来栖白露と申します。今日はどうぞ、宜しくお願い致します」
ぺこりと頭を下げると、2人も同じものを返してくれる。
「こちらこそ。俺は神田陸玖(かんだりく)です。16歳だよ」
「僕は鳴山維月(なるやまいづき)!17です、よろしく!」
陸玖さんと、維月さん。
「ほ、本日はよろしくお願いします……!」
すると、2人はニコッと微笑んで言った。
「そんなにかしこまらなくても大丈夫だよ~、歳も近いんだし、仲良くしよう?」
陸玖さんがそう言って俺の手を握る。
「そうそう、僕のことは維月って呼んでね!」
えっと……な、名前で呼んでもいいのかな……。
見かねた真生さんが口を挟む。
「白露様、この御二方はとてもお強くて、湊様が入る前まではUnder18部門で2位と3位だったのですから」
「そうなんですか……凄い……!」
思わずそう言うと、ふっと空気が緩んだ。
「「かーわいい~!」」
……へ?
「何この子超可愛い~!」
「尊い可愛い死ぬ……」
陸玖さんに頭をくしゃくしゃっと撫でられて、維月さんにぎゅっと抱きつかれる。
「陸玖様、維月様……程々に、お願いしますね」
念を押すように真生さんが伝える。
「私は仕事がありますのでもう行きますが……くれぐれもハメを外しすぎないように!」
真生さんが出て行くと、2人は急に真面目な目つきになって。
「さ、真生が居なくなったとこで早速……」
2人が徐々に近づいてくる。
「お話しよっ!」
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