マフィアのお兄ちゃん、探してます

取引

2人に連れられソファーに座ると、「何飲むー?」と聞かれた。
「何がありますか?」
そう聞くと、パタンと音がして、維月さんが答えてくれる。
「んーっとねー、レモネード?と、メロンソーダと、天然水と、コーラと……あといちごミルクとか?」
いちごミルク……!
「いちごミルクお願いしますっ」
「おっけー」
維月さんは陸玖さんにも飲み物を聞いたあと、手際よくグラスにドリンクを注いでいく。
陸玖さんはコーラ、維月さんはメロンソーダを選び、ソファー前のテーブルに置く。
「ねぇ、スマホ見るの無しにしよ。机の上置いて」
陸玖さんの言葉に頷き、スマホを机の上に置いた瞬間。
ぱっ、とスマホが消えた。
……は?
「こんなことしてごめんね、白露くん」
そう言った陸玖さんの手には俺のスマホがしっかりと握られていて。
__っ!?
「な……にを」
衝撃的すぎて、言葉がうまく出ない。
咄嗟に立ち上がり、2人から距離をとる。
「ねぇ待って、怖がらないで。……俺らはただ、白露くんのお兄さん達のことが知りたいだけ」
俺の……お兄達……?
「俺の捜してる人と、君のお兄さん達。何らかの繋がりがあるって突き止めたんだ」
維月さんが髪をかき上げながら言う。
「お願い。知ってることを話して。じゃないとスマホがどうなるか__」
陸玖さんがそこまで言った瞬間、俺はニヤリと口角を上げた。
そんな俺に、不審そうな目を向ける2人。
「……いつから俺が、やられっぱなしだと思っていたんですか」
その途端、維月さんはハッとした表情でポケットに手を当てた。
「……ない、僕のスマホ」
俺はニコッと笑って維月さんのスマホを見せびらかす。
さっき、俺のスマホが盗られた瞬間に隣にいた維月さんのポケットから盗っておいたんだ。
「……全く、油断も隙もないねぇ」
維月さんは、少し引きつったような笑みを浮かべ、こちらに近づいてくる。
「交換条件でどう?白露くんは自分の持ってる情報を僕達にあげる。そしたらこっちの持ってる情報をあげるよ」
……その言葉を待ってました。
「のりました。……ありがとうございます」
もう一度ニコッと微笑み、ソファーに座り直す。
「お互い、腹割って話しましょう」


始めはじゃんけんで負けた俺から情報を話すことになった。
持ってる情報と言っても、少ししかないけど……。
「俺の兄達は数年前から連絡が途絶え始めて、去年、音信不通になりました」
2人の息を飲む音。
そこから少し息を吸い、また話を続ける。
「俺には2人の兄がいます。19歳の真冬兄と17歳の立夏兄です」
そこまで言った瞬間。
「っ、え!?」
「ウソ……!」
泣いたような笑ったような、そんな表情。
「待って、想像はしてたけど……」
「ってことは……あの来栖白露くん……ってこと、だよね……?」
陸玖さんと維月さんは口々にそう言うと、興奮が収まらないように笑う。
「あぁごめんね、興奮しすぎた」
ソファーに座り直したところで陸玖さんが口を開く。
「俺らの持ってる情報はね___」
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