学校イチ人気者なアイドルに恋する私。を、なぜかそのお兄さんが愛してくるんだが。




テキトーに出した言い訳を繋げられると、納得いかない。

こんな人間とまともに会話してくれてる感じがして、逆に申し訳なくなる。



「…………」



沈黙が重いような、そうでもないような。

うっちーは謎人間すぎて、あまり他人に興味を示さないタイプなんじゃないかとも思っている私だ。


そこがいいんだろーね、逆に。



「……よし。あたしの学生時代の話でも聞くか?」


「くそ気になる」


「おお、食いついたな」



暇つぶし感覚というよりはシンプル気になって。

作業を中断させてまで生徒に向き合おうとしてくれるうっちーは、保険医としても人間としても完璧。


この先生にだけは心を開けるって、他の生徒もいつも言っていた。



「高2のときだったかなー。後輩の女の子と付き合ってたんだよ、あたし」



嘘でも良かった。

私に対して遠回しに何かを伝えてくれようとしているのなら、それはそれで。


ただ、うっちーの雰囲気から察するに実際にあった話なのだろう。



< 79 / 242 >

この作品をシェア

pagetop