愛を語るより…
煌めく街。
何処も彼処も、この年最後の月に突入した瞬間に、魔法に掛けられたように、沢山のキラキラした色に染まる。


吐く息が濃く白くなるのも、その一つ…に入るかもしれない。


むせ返るような、冷気。
どろりとした、人混みの渦。

ツン、と鼻を突く感覚にふっと意識が暖かな場所を求め、視線を連なる飲食店やらバーに向けた。


いけない。


私は去年買ったオフホワイトのマフラーに顔を埋め、当初の目的へと意識を戻す。

そして、コートとお揃いの手袋をしている手で、ポケットからそっとスマホを取り出し、時間を確認をする。


約束まであと30分。


こつんこつん

ブーツのヒールを鳴らす音は、軽快なリズムを刻む。
まるで、街の賑わいの中で一番多く掛かっている、お決まりの曲に合わせて…。


今日、私のいる場所には雨は降らなかったけれど、とにかく足先が痺れるくらいの寒波が居座っているらしく、多分私の鼻は見事に赤くなっているだろう。


それをなんとなく感じ取って、はぁっと手に息を吹きかけ、歩みを進める。


約束を貰った時は、一瞬キョトンとしてしまったけれど、その後告げられた内容を頭の中で反芻して、かぁーっと顔が熱くなった事が今でも夢の事の様にふわふわとしてる。

あれは、果たして現実だったのかな?
私の勘違いじゃないかな?

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