君と二度目の恋に落ちたら

第4章 崩壊

私はまた夢を見ていた。

ぼやけた視界、意識がはっきりとしないうちに急に誰かが私の手を取ったということが感覚でわかった。

だ、誰…とびっくりして身体を動かそうとしたが、やはり今日の夢もあまり思うように動けない。私は自分が横になっているということに気が付いた。

視線を私の手を握る人物に向けると、ぼんやりとしていたがその人物が誰であるかが特定できた。

お母さんだった。


私は母の姿を捉えたと思ったら、そこで目が覚めた。

むくりと起き上がり、さっき見た夢を思い出す。あれはお母さんだった。だけど、そのお母さんはどうしてだか泣いていたような気がする。泣きながら、私の手を握って私の顔を覗き込んでいた。

最近、変な夢が続いているな…思った。

ぼんやりとしていることが多い世界の夢だが、なんとなく場所はいつも同じような気がする。だけど、そこがどこなのかはわからない。

どうして夢の中のお母さんは私を見て泣いていたのだろうか…。何かを暗示しているのだろうか…。

私は身支度を軽く済ませ、リビングへ向かった。

リビングではフライパンで何かを熱している音がしていた。いつもの日常の光景がそこには広がっていた。

「おはよう。もうすぐ朝ごはんできるから座ってて」

母はリビングにやってきた私に気づいて、料理をする手を止めず、軽くこちらを振り返ってそう声をかけてきた。

「うん、ありがとう」

母はいつも通り笑顔だった。そういえば、私は現実では母の泣いている姿なんて見たことはなかったような気がする。いつも母は笑っていたはずだ。
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