君と二度目の恋に落ちたら
だが、そう考えた時に急に違和感を覚えた。いや、果たして本当に母が泣いたところを見たことがなかっただろうか…。

自分が感じた違和感について考えていると急に頭がぐわんぐわんとした。めまいだ。座っていてよかった。

「ちょっと、ゆりあ大丈夫!?」

母が私の異変に気が付いて、私のそばに寄る。すると、意識がはっきりしてきた。

「大丈夫。なんかちょっとめまいなのか、視界が揺れて…」

「ええ!?大丈夫じゃないじゃないの…今日、学校休む?」

「いやいや、大げさな…。学校でも一回あったけど、その時も全然大丈夫だったよ」

「お母さん、そんな話今初めて聞いたわよ…。無理しちゃいけないんだからね」

あまりにも私の心配をする母に本当に大丈夫だと伝えようとしているところに面倒くさいことに父まで現れた。

「ん?どうしたんだ?」

「ゆりあが急にめまいがしたって…」

「なんだと!」

父も私のそばに寄ってくる。いつも寝坊するくせに、なんでこんな時に限ってちゃんと起きてくるんだ…なんて内心思いながら、私は2人に「一瞬めまいがしただけだから、本当に大丈夫だから!」と強く訴えた。

私の両親は本当に優しいと思うが、たまに過保護すぎるのではないかと思うことがある。

なんとか両親を説得し、私はいつも通り学校に行くことになった。

家を出る時は父がいつものように「車に気をつけるんだぞ」と言い、今日はさらに「体調が優れないと思ったら、すぐに休むんだぞ!」と付け加えられた。両親は心配し過ぎだと思う一方で、私はふとどうしてめまいが起こるのだろうかと考えた。

この前は前野くんのことを考えている時で、今日は母のことを考えている時だった。考えていることは違うが、どちらも私は何かを思い出しそうな気がしていた。しかし、それは一体なんだったのだろうか。今は何かを思い出しそうな気はしないのだ。

私はこれ以上考えることはやめて、7月も半ばでもうすぐ夏休みを控えている今、暑さにやられてしまったのだろうと強引に結論付けた。

それからはめまいが起きることはなかった。
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