無自覚なまま、愛を蓄えて。

彼女になりたい



「……ありがとうございました……」



お会計を終えたお客さんがカフェを出ていく。それを見送るが頭の中では全く別のことを考えていた。


いつもならもっと大きな声が出るのに、今日はいつもの調子が出ない。


何も……手につかない。



「……はぁ」


「あら、優星ちゃん。どうしたの?なんか元気ないじゃない」


「マスター……」



レジの前でため息を着いているとマスターに話しかけられた。


今日は土曜日。絶賛バイト中で、レジにたっていたところだ。


マスターは不思議そうに首をかしげ私の隣に立つ。



「何かお悩み?もし良かったら話聞くよ?」



エプロンを脱ぎながらそう言ってくれた。


マスターは相談に乗るのが上手くて、四六時中お客さんやほかのバイトの人の相談に乗っている。



「いや、大丈夫です。仕事中にすみません。戻りますね」



だけど私は、人に相談することに躊躇いがあった。
< 208 / 242 >

この作品をシェア

pagetop