無自覚なまま、愛を蓄えて。

幼なじみから恋人へ



バイトが終わる時間にカフェを出ると、ドアのすぐ横で梓くんは待っていた。


壁に寄りかかりスマホを見るわけでもなく、ただぼーっとどこかを見つめている。



「お、おまたせ!」


「お疲れ様、優星」



最後に大きな深呼吸をする。


梓くんに声をかけるとすぐに反応してくれた。目を細め、また優しく頭を撫でてくれる。



「あ、あの……」


「なぁ、少し散歩しないか?近くに確か広い公園があったよな」


「う、うん。あった」



頭を撫で終えるのを待ってから、話しかけたのに。梓くんはそれを遮って散歩をしないかと誘ってくれた。


思わず頷いてしまったけど、ほんとうは早く告白したかった。この緊張から解かれたくてとにかく必死だった。



「よし、決まり。話はその後な」



私の反応を見て、頷く梓くん。


そして考える前に梓くんは私の手を握る。



「ちょ、梓くん……!」


「ん?嫌だった?」
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