無自覚なまま、愛を蓄えて。

危険な一夜



……なんか梓くんに助けを求めたらお泊まりすることになってしまった。


私は、ちらっと隣を歩く梓くんを見る。


月明かりに照らされた梓くんはとても綺麗でかっこよくて。思わずため息が漏れそうになるほどだった。


お父さんとの1連の騒動があり、もう一度話し合いを試みようとしたけど梓くんに止められた。


梓くんはあのお父さんに対して今は何をしても意味ないだろうと思ったらしい。


そしたら何故か梓くんの家に泊まることになり、今は心臓がバクバクと暴れている。



「……優星?」



ぼーっと梓くんを見ていると視線に気づいたのか不意に名前を呼ばれた。その事にドキッとする。



「ん?」


「……いや、なんでもねぇよ。つか、悪かったな。優星の家に口出しして」



ポリポリと頭をかきながら申し訳なさそうに謝る梓くん。その事に全力で首を振った。



「全然大丈夫。むしろ私のために怒ってくれてありがとう。助けてくれてありがとう」
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