花とリフレイン —春愁切愛婚礼譚—
室内の壁には、布がかけられた横長の何かが立てかけられている。
「古川さん、どうも」
恰幅の良い白衣の中年男性が笑顔で声をかけてきた。
ときどき見かけるこの病院の院長だ。
「あの、なにかありましたか?」
恐る恐る尋ねる。
「ああ、悪いことではありませんのでご安心ください」
私はホッと胸を撫で下ろす。
「今朝方、当院に絵画の寄贈がありましてね」
「絵画?」
「日本画で、その絵には【ベリが丘総合病院と古川木花氏及び彼女の祖母へ贈る】というメッセージがついていまして」
「え?」
まったく心当たりのない話だ。
「その絵というのがこちらなのですが」
壁に立てかけられていた横長のものから、布が取り払われる。
「え……」
「古川さん、どうも」
恰幅の良い白衣の中年男性が笑顔で声をかけてきた。
ときどき見かけるこの病院の院長だ。
「あの、なにかありましたか?」
恐る恐る尋ねる。
「ああ、悪いことではありませんのでご安心ください」
私はホッと胸を撫で下ろす。
「今朝方、当院に絵画の寄贈がありましてね」
「絵画?」
「日本画で、その絵には【ベリが丘総合病院と古川木花氏及び彼女の祖母へ贈る】というメッセージがついていまして」
「え?」
まったく心当たりのない話だ。
「その絵というのがこちらなのですが」
壁に立てかけられていた横長のものから、布が取り払われる。
「え……」