カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜

「俺に関わるな」

六月。中間試験が一週間後に迫っていた。
結局あれから私も生徒会の集まりでバタバタしていたし、悠太に勉強を教えることはできなかった。

この学園は勉学にもすごく力を入れていて赤点とか、ものすごく成績が悪い生徒は良くて補習、最悪の場合、学園の意向に沿わないとみなされて退学者も出ることで有名だった。

悠太に勉強を教えて欲しいと言われたのは四月の下旬頃だったけど、そういうことをふまえて一ヶ月くらい前から準備を始める生徒がほとんどだった。

でも悠太は元々成績が悪いわけじゃない。
結局ひょうひょうとやってのけるんだろうなって思った。

人の心配をしている場合じゃなくて、私自身が結構焦っていた。

入試の時のことも生徒会員であることもプレッシャーになっていて勉強がなかなか捗らない。

中間試験までの最後の一週間は全ての部活動が休止されて、生徒会も休みになった。

今日はモネと一緒に勉強しようかなって思っていたけれど、モネがおうちの用事で無理らしい。

「サユちゃんごめんね」

顔の前で手を合わせるモネの頭をよしよしって撫でた。

「ううん」

「サユちゃんはこれからどうするの?」

「生徒会室行こっかな」

「生徒会室?活動はお休みでしょ?」

「誰か居るかもしんないし。居たら勉強見て欲しいんだよね」

「そっか。気をつけてね」

「モネも気をつけてね」

高校生になってから私とモネの放課後はルーティン化してきている。

一緒に教室を出て、モネは下足箱、私は生徒会室に行くために階段で手を振る。

教室では中学生の頃と何も変わらない。
モネが大好きだしモネだって私が好きだと思う。

なのにこうやって階段で手を振って別れるたびに寂しくなる。

モネとの関係性が変わることは無いと思うけれど、傲慢にそう思ってちゃだめだ。

モネのことも悠太のことも全部失くさないでいたいなんてわがままかな。
< 107 / 236 >

この作品をシェア

pagetop