カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜

香り

「私ね、砂雪ちゃんのこと妹みたいに思ってんだー」

「そんな風に思ってくれてるんですか?嬉しいです」

「うん。なんていうか、ずっと知ってたからね」

「え?」

鈴城さんがコーヒーを飲んで、小さく息をついた。
心なしかいつもより緊張しているみたいだった。

いつもより表情がかたい。

「カナデにはもう聞いた?」

私は首を振った。

「本郷先輩が私の過去をどうとか…ってやつですよね」

「うん。砂雪ちゃんってけっこう焦らすタイプなんだね?」

「そんなんじゃないですよ!タイミングが無いだけで…」

「そうね。いろいろあったもんね」

頑張ったねって目を細めて、鈴城さんは私の頭を撫でた。

「でもね、カナデもいい加減、限界なんじゃないかな?」

「限界?」

「ずっと会いたかった子がこんなに近くにいるのにその子は自分のこと覚えてないんだもん。それどころか違う男子に一生懸命恋しちゃってるしさー」

現実は残酷ね、って呟きながら、鈴城さんは背伸びした。
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