カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
甘く激しく支配して
二学期の始業式が始まった。

終業式と違うのは生徒会員の座る場所。
それが始業式はステージの上だった。

鈴城さんだけが終業式と同じ場所で、式を進行してくれている。

生徒達から見て、左からカナデくん、中村さん、戸田さん、長谷川さん、私の順番で横並びに座っていた。
式が始まる前に、体育館に入ってきたモネが大きく腕を振ってくれていた。

元々ステージ上に席を取ってるなんて聞いていなかったから二年生の先輩達も私も不思議に思っていた。

でもカナデくんも鈴城さんもなんにも言わなかった。

式は順調に進行して、
理事長、校長と順に挨拶が終わった。

「続きまして生徒会長、本郷 カナデの挨拶です」

夏休み中、「カナデ様不足」に陥った女子達は、ステージ上にずっとカナデくんが居るだけで騒がしかったのに、名前を呼ばれたらその熱は最高潮に達してしまったみたいだ。

前とは違う気分だった。
なんだかすごく、穏やかな気持ちでその光景を見ていた。

カナデくんのカリスマ性は本当に凄いなぁなんて感心していた。

演説台の前で頭を下げて、カナデくんの挨拶が始まった。

今日は終業式の時みたいに挨拶をまとめた式辞用紙を持っていなかった。
忘れてきたわけでもなさそうで、丸暗記なのかアドリブなのか気になってしまう。

「全校生徒の皆さん、二学期も元気に皆さんと会えたことを嬉しく思います」

ステージの下に整列する生徒達から「私もー!」とか「会いたかったー!」とかライブみたいな声が聞こえてきて、ステージ上に座る私達も笑ってしまった。

「皆さんにとって、どんな夏休みでしたか?有意義に過ごせたでしょうか?二学期は体育祭、文化祭など学園のイベントも盛んな学期なので、学園全体でよい思い出が作れるよう、願っています」

生徒達の声がやむのを待って、カナデくんは続けて言った。

「ここで皆さんにご報告がございます」

報告…?

カナデくんのその言葉はステージ上の先輩達も初耳だったみたいで、私達は顔を見合わせた。
全校生徒もザワザワとしだして、それを三年生の学年主任の先生が「静かに!」と言って収めた。
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