カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜

本性

生徒会室に戻ったら、少女の姿はすでに無かった。

「あの子は?」

「あーっ砂雪ちゃん!おっかえりー!よく頑張りました!」

「私は何も…。中村さんと長谷川さんの横で突っ立ってただけです」

「もー謙遜しないの!中村ちゃんに聞いたよ?あの子を説得してくれたんでしょ」

「説得なんて…」

「とりあえず砂雪ちゃんの調査隊デビューは無事完了したってことで!」

「そうですね。ノートもちゃんとできましたよ。報告書としてまとめて、週明けには提出しますね」

「さっすがハッセーは仕事が早い!」

「じゃあ私達はもう帰ります」

戸田さんがカバンを持って、中村さんと長谷川さんもペコって会釈した。

「待ってー!私も帰るから」

「鈴城さんも?」

「うん。家族でディナーなの」

家族で外食に行くことを「ディナー」なんて私の口は発したことなんか無い。

鈴城さんにはその響きがよく似合うと思った。

中学生の時の生徒会とは丸っきり世界が違う。
この水槽の中で私はうまく呼吸を繰り返せるのかな。
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